「2020年東京オリンピック・パラリンピックの主会場、新国立競技場の建設工事に従事していた建設会社の20代の男性社員が自殺したのは、違法な長時間労働が原因だったとして、男性の両親が所轄の労働基準監督署に労災申請をしたことが、今月20日、明らかになった」という報道がありました。遺族側の代理人弁護士が記者会見を開き明らかにしたものです。

当該代理人によりますと、男性は昨年、大学を卒業し、都内の建設会社に就職して新国立競技場の工事現場で働いていましたが、今年3月に突然失踪し、自殺してしまったとのことです。失踪直前の1か月の残業時間は200時間にも上り、違法な長時間労働による精神障害が自殺の原因だと主張しています。

会社側は、違法な長時間労働だったと認め、「真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努める」とコメントしているようです。
新国立競技場を巡っては、予算・デザインの変更で、当初の予定より1年2カ月遅れで去年12月に工事がスタート。工期は3年で、完成予定は2019年11月とされています。この工期などにも無理はなかったのか?波紋が広がりそうです。
当該代理人は、大会組織委員会や東京都などに対し改善措置を求める方針も明らかにしているようです。

建設業でも働き方改革を進めようということで、建設産業の担い手確保・育成に向けた取組として、技能労働者の「適切な賃金水準の確保」、「社会保険等の加入徹底」、「建設業における休日の拡大(週休2日の確保等による不稼働日等を踏まえた適正な工期設定の推進)」などの措置を講じていくことなどが打ち出されています。また、時間外労働の上限規制にどのように対応していくかなども議論されています(今年8月には、関係省庁連絡会議でガイドラインの策定等の具体的な取組について議論する予定)。

〔参考〕今年6月29日に開催された第1回連絡会議(建設業)の配布資料から、「建設業における働き方改革について(国交省)など」を紹介しておきます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/kensetsu_jidousya/dai1/haifusiryou