「スポーツ動画の有料ネット配信サービスを運営する会社が、元社員に違法な残業をさせていたとして、労働基準監督署が是正勧告をしていた」といった報道がありました。
本年(2019年)6月4日に、元社員が加入する労働組合が記者会見を開き明らかにしたものです。

労働組合によると、元社員は、2016年度には、実際に働いた時間にかかわらず一定の時間働いたものとみなし、残業代込みの賃金を払う「裁量労働制」が適用されていましたが、労使協定の存在が確認できないなどとして、労働基準監督署が無効と判断し、本年(2019年)3月に是正勧告が行われたとのことです。

また、元社員は、2017年度~2018年度には、残業代の対象外となる「管理監督者」として扱われていましたが、十分な権限を与えれていなかったなどとして、労働基準監督署が無効と判断し、本年(2019年)5月に是正勧告が行われたとのことです。

いずれも、残業代が不要となる立場に社員を置こうとするものですが、要件を全く満たしていない状況だったようです。

これを機に、裁量労働制や管理監督者の制度の概要等を再確認しておきましょう。

●裁量労働制について
<裁量労働制の概要(厚労省HP)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan

●管理監督者について
<労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために(厚労省リーフレット)>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf