新型コロナウイルス感染症が経済活動に影響を及ぼす中、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業等」という。)から、労働基準関係法令への対応に困難を伴う状況がある旨の声が寄せられているようです。
そんな中、都道府県労働局及び労働基準監督署において、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大が中小企業等に与える影響に配慮すること等を徹底するよう、厚生労働事務次官から都道府県労働局長に宛てて、令和2年3月17日に通達が発出されました。
その内容が公表されました。
その中で、「労働基準法第33条の解釈の明確化」、「1年単位の変形労働時間制の運用の柔軟化」、「36協定の特別条項の考え方の明確化」などが取り上げられ、労働基準関係法令への対応の方向性が示されています。
●労働基準法第33条の解釈の明確化
労働基準法第33条第1項(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等の延長)の対象となり得る場合を明確化。
次の場合は、対象となり得る。
・新型コロナウイルス感染症に感染した患者を治療する場合
・手厚い看護が必要となる高齢者等の入居する施設において新型コロナウイルス感染症対策を行う場合
・新型コロナウイルスの感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液、医療機器等を緊急に増産又は製造する場合
※このほか、人命・公益を保護するために臨時の必要がある場合も該当し得る。
●1年単位の変形労働時間制の運用の柔軟化
1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、新型コロナウイルス感染症対策のため、当初の予定どおりに制度を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、制度の途中であっても、労使協定を締結し直すことも可能であることを明確化。
●36協定の特別条項の考え方の明確化
繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症によるものである場合には、36協定の特別条項に明記されていなくとも、「臨時的な特別の事情がある場合」の理由として認められるものであることを明確化。
労働時間制度について、新型コロナウイルス感染症が中小企業等に与える影響に配慮して、例外的な取扱いが認められることがありますので、一度確認されるとよいと思います。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による 影響を踏まえた中小企業等への対応について(令和2年厚生労働省発基0317第17号)>